ホスティング記述ファイルを編集する
ホスティング記述ファイルは、YAML、JSON、または XML フォーマットで記述でき、移行元サーバから移管するクライアント、契約、アドオンドメイン、メールボックスなどを列挙します。ホスティング記述ファイルのサンプルは付録 C で確認できます。本トピックでは、移行が成功するように、一般的なパラメータの構成方法をいくつか説明します。
ウェブコンテンツデータへのパスを指定する
移行元サーバと移行先サーバの両方におけるウェブコンテンツデータへのパスを指定するには、subscriptions セクションで以下のパラメータを使用します。
-
source_webspace_root
- 移行元サーバで顧客が使用できるすべてのファイルを格納するディレクトリの絶対パス。契約レベルでのみ指定可能です(例:/home/vhosts/example.com
)。 -
source_document_root
- HTTP 経由で提供されるファイルのみが格納されるディレクトリの絶対パス。契約レベル、アドオンドメインレベル、またはサブドメインレベルで指定可能です(例:/home/vhosts/example.com/httpdocs
)。 -
target_document_root
- 移行先サーバで HTTP 経由で提供されるファイルが格納されるディレクトリ。移行先サーバにおける契約のウェブスペースのルートを基準とする相対パスにします。契約レベル、アドオンドメインレベル、またはサブドメインレベルで指定可能です(例:data/www
。ドメイン名が example.com で、Plesk の仮想ホストディレクトリが/var/www/vhosts
である場合、移行先でのドキュメントルートディレクトリの絶対パスは/var/www/vhosts/example.com/data/www
となります)。指定しないと、Plesk のデフォルト値が使用されます。
注: 構成ファイルに移行元サーバのアクセス情報が含まれない場合、source_webspace_root
のパスと source_document_root
のパスは移行先サーバでローカルとして扱われます。
特定のディレクトリまたはファイルが移行されないようにするには、exclude
ディレクティブを source_webspace_root
パラメータおよび source_document_root
パラメータで使用します。例:
exclude ルール記述のための構文は、rsync ツールで使用するものと同じです。詳しくは、rsync のマニュアルの「Include/Exclude Pattern Rules」セクションを参照してください。
移行元サーバの特定のディレクトリからのウェブコンテンツを移行先サーバのどのディレクトリに格納するか詳細に設定する必要がある場合は、ウェブファイルマッピングを使用します。例:
target ディレクティブには、移行先サーバでの絶対パスを指定するか、以下の表に挙げたテンプレート変数が 1 つ以上含まれるフォーマット文字列を指定します。
以下の表は web_files
ノードが契約ノードの直下にある場合の、テンプレート変数と、それらが契約(ウェブスペース)に対してどのような意味を持つのかを示します。
テンプレート変数 | 詳細 | 適用対象 |
---|---|---|
{anon_ftp_incoming} |
匿名 FTP でアップロード可能なディレクトリのパス |
Unix のみ |
{anon_ftp_pub} |
匿名 FTP で読取可能なディレクトリのパス |
Unix のみ |
{cgi_bin} |
ウェブスペースの cgi-bin ディレクトリのパス |
Unix のみ |
{document_root} |
ウェブスペースのドキュメントルートのパス - HTTP 経由でアクセス可能なディレクトリ |
すべて |
{logs} |
ログ(Apache のアクセスおよびエラーログなど)が含まれるディレクトリのパス |
すべて |
{main_domain_private} |
メインドメインのプライベートディレクトリ |
Windows only |
{main_domain_statistics} |
メインドメインの統計ディレクトリ(AWStats/Webalizer など) |
Windows のみ |
{protected_dirs} |
保護されたディレクトリの設定が含まれるディレクトリのパス |
Unix only |
{ssl_document_root} |
ウェブスペースのセキュアドキュメントルートのパス - HTTPS 経由でアクセス可能なディレクトリ |
Windows のみ |
{statistics} |
統計ファイルが含まれるディレクトリのパス(AWStats/Webalizer など) |
Unix のみ |
{webspace_idn} |
punycode でエンコードされたウェブスペース名 |
すべて |
{webspace_root} |
ウェブスペースのルートのパス |
すべて |
{webspace} |
ウェブスペース名 |
すべて |
以下の表は、web_files
ノードがアドオンドメインまたはサブドメインノードの直下にある場合のテンプレート変数と、それらがアドオンドメインおよびサブドメインに対してどのような意味を持つのかを示します。
テンプレート変数 | 詳細 | 適用対象 |
---|---|---|
{cgi_bin} |
アドオンドメイン/サブドメインの cgi-bin ディレクトリのパス |
Unix のみ |
{document_root} |
アドオンドメイン/サブドメインのドキュメントルートのパス |
すべて |
{logs} |
アドオンドメイン/サブドメインのログ(Apache のアクセスおよびエラーログなど)が含まれるディレクトリのパス |
Unix のみ |
{protected_dirs} |
アドオンドメイン/サブドメインの保護されたディレクトリの設定が含まれるディレクトリのパス |
Unix のみ |
{site_idn} |
punycode でエンコードされたアドオンドメイン/サブドメイン名 |
すべて |
{site} |
アドオンドメイン/サブドメイン名 |
すべて |
{statistics} |
アドオンドメイン/サブドメインの統計ファイルが含まれるディレクトリのパス(AWStats/Webalizer など) |
すべて |
{webspace_anon_ftp_incoming} |
親ウェブスペースの匿名 FTP でアップロード可能なディレクトリのパス |
Unix のみ |
{webspace_anon_ftp_pub} |
親ウェブスペースの匿名 FTP で読取可能なディレクトリのパス |
Unix のみ |
{webspace_cgi_bin} |
親ウェブスペースの cgi-bin ディレクトリのパス |
Unix のみ |
{webspace_document_root} |
親ウェブスペースのドキュメントルートのパス |
すべて |
{webspace_idn} |
punycode でエンコードされた親ウェブスペース名 |
すべて |
{webspace_logs} |
親ウェブスペースのログ(Apache のアクセスおよびエラーログなど)が含まれるディレクトリのパス |
すべて |
{webspace_protected_dirs} |
親ウェブスペースの保護されたディレクトリの設定が含まれるディレクトリのパス |
Unix のみ |
{webspace_root} |
ウェブスペースのルートのパス |
すべて |
{webspace_ssl_document_root} |
親ウェブスペースのセキュアドキュメントルートのパス - HTTPS 経由でアクセス可能なディレクトリ |
Windows のみ |
{webspace_statistics} |
親ウェブスペースの統計ファイルが含まれるディレクトリのパス(AWStats/Webalizer など) |
Unix のみ |
{webspace} |
親ウェブスペース名 |
すべて |
メールコンテンツデータへのパスを指定する
移行元サーバから移行先サーバへメールコンテンツを移管するメカニズムは、Linux と Windows で異なります。
Linux では、移管するメールボックスについての情報を mailboxes
セクションに指定する必要があります。
ここで directory には、移行元サーバでメールボックスコンテンツが格納されているディレクトリ、または移行先サーバへ手動で移管した後にメールボックスコンテンツが配置されたディレクトリの絶対パスを指定します。
Windows では、ホスティング記述ファイルには何も指定する必要がありません。すべてのメールコンテンツは Plesk のバックアップおよび復元メカニズムを使用して移行されます。
注: Windows では、移行先サーバへ手動で移管されたメールコンテンツをインポートする機能が Plesk Migrator にありません。メールコンテンツを移管するには、移行元サーバへのアクセスが必要になります。
データベースへのパスを指定する
Plesk Migrator では、他のパネルからの移行時に、MySQL および Microsoft SQL Server データベースをコピーすることができます。データベースコンテンツのコピーには 2 つの方法があります。
- データベースサーバへのアクセス権が付与されている場合、コンテンツを直接コピーする。
- データベースダンプファイルからコンテンツを復元する。
データベースサーバからコンテンツを直接コピーするには、Plesk マイグレータの構成ファイルにサーバを記述し、サーバへのアクセス情報も指定する必要があります。databases
セクションで server
パラメータを使用します。
データベースダンプファイルからコンテンツを復元するには、ダンプを特定のフォーマットで作成する必要があります。
- MySQL の場合、ダンプは
mysqldump
ユーティリティなどで作成できます。 - Microsoft SQL Server の場合、T-SQL の "BACKUP" コンストラクトを使用します。
ダンプを復元するには、以下のように dump
オプションを指定します。
注: Microsoft SQL Server データベースの移行が可能なのは、移行元サーバ上の Microsoft SQL Server インスタンスのホスト名が移行先サーバで解決可能である場合のみです。