IP マッピング
移行元サーバから移行されたドメインが移行先サーバで機能するようにするには、このドメインの構成を変更して、移行先サーバの IP アドレスを使用させる必要があります。この作業を「 IP マッピング 」と呼び、自動的に行うことも手動で行うこともできます。
理想的には、移行元サーバでの共用 IP アドレス 1 つにつき、移行先サーバで共用 IP アドレスが 1 つ必要です。これは専用 IP アドレスについても同様です。
移行が完了した後で、マイグレータが割り当てた IP アドレスを確認し、必要に応じて割り当て直すことができます。
自動的な IP マッピング
デフォルトで、IP マッピングは移行中に自動的に実行されます(ユーザの入力は必要ありません)。Plesk Migrator は、以下のルールに従って、ドメインを移行先サーバ上の IP アドレスに割り当て直します。
- 移行元サーバで専用 IP アドレスが割り当てられていたドメインに対し、未割り当ての専用 IP アドレスが割り当てられます(可能であれば)。これが不可能な場合は(たとえば、未割り当ての IP アドレスが移行先サーバに残っていない場合)、デフォルトの共用 IP アドレスが使用されます。
- 移行元サーバで共通の IP アドレスを使用していたすべてのドメインに対し、1 つの共用 IP アドレスが割り当てられます(可能であれば)。これが不可能な場合は(たとえば、移行先サーバにある共用 IP アドレスの数が移行先サーバよりも少ない場合)、デフォルトの共用 IP アドレスが使用されます。
IP マッピングは、IP マッピングファイルまたは移行リストファイルを使用して手動で実行することもできます。
注釈: 異なるマッピング方法を組み合わせることも可能です。たとえば、移行リストを使用して共通のマッピングルールを指定してから、マッピングファイルを使用して特定のドメインに特定のアドレスを設定することができます。
マッピングファイルを使用する IP マッピング
IP マッピングファイルとは、IP アドレスが 2 列に並んでスペース文字で区切られているシンプルなテキスト形式のファイルです。左側には移行元サーバにある IP アドレスが並び、それに対応する移行先サーバの IP アドレスが右側に並んでいます。このファイルには IP アドレス以外の情報(コメントなど)を記述できません。空白行は許可されます。
以下に示すのは、サンプル IP マッピングファイルの内容です。
192.168.1.10 10.52.1.16
192.168.1.11 10.52.1.17
192.168.1.12 10.52.1.17
上の例では、IP アドレス 192.168.1.10
を使用しているドメインに IP アドレス 10.52.1.16
が割り当てられます。IP アドレス 192.168.1.11
と 192.168.1.12
を使用している IP アドレスには IP アドレス 10.52.1.17
が割り当てられます。
マッピングファイルの準備ができたら、これを以下のオプションを使用して Plesk Migrator に渡します。
--ip-mapping-file IP_MAPPING_FILE
ここで IP_MAPPING_FILE
は、マッピングファイルのパスであり、絶対パスか、現在の作業ディレクトリを基準にした相対パスで記述します。
移行リストファイルを使用する IP マッピング
この IP マッピング方法は複雑ですが、IP アドレスの割当をより細かく制御することができます。移行リストファイルを生成する手順は、「 Plesk サーバから移行する 」トピックで説明しています。ファイルが生成されたら、以下のサンプルを参考にファイルを編集します。
IPv4: 10.52.1.16
domain1.tld
domain2.tld
IPv4: 10.52.1.17
domain3.tld
上の例では、ドメイン domain1.tld
および domain2.tld
に IP アドレス 10.52.1.16
が割り当てられます。ドメイン domain3.tld
には IP アドレス 10.52.1.17
が割り当てられます。
IPv4: shared
domain1.tld
domain2.tld
上の例では、両ドメインに 1 つの共用 IP アドレスが割り当てられます。
IPv4: dedicated
domain1.tld
domain2.tld
上の例では、各ドメインに対し、ランダムに選択された専用 IP アドレスが割り当てられます(移行先サーバに、未割り当ての専用 IP アドレスが少なくとも 2 つ必要です)。
IPv4: auto
domain1.tld
domain2.tld
上の例では、各ドメインに対し、自動 IP マッピングルールに従って IP アドレスが割り当てられます。
IPv6: none
domain1.tld
domain2.tld
上の例では、いずれのドメインにも IPv6 アドレスが割り当てられませんが、IPv4 アドレスは割り当てることができます(IP アドレスがないとドメインを作成できないため)。
移行リストファイルを使用して IPv6 の IP アドレスをドメインに割り当てることも、IPv4 の IP アドレスを割り当てることもできます。いずれのドメインにも、IPv4 アドレスまたは IPv6 アドレス、あるいはその両方を割り当てることができます。あるドメインに割り当てる IP アドレスの指定では、特定のアドレスを使用することも、 shared/dedicated/auto/none
プレースホルダを使用することもできます。
IPv4: 10.52.1.16
IPv6: 2002:5bcc:18fd:d:904c:9277:339a:ce56
domain1.tld
上の例では、このドメインに IPv4 アドレスと IPv6 アドレスの両方が割り当てられます。
リセラーに割り当てられた IP アドレスは、特定のリセラーの下にある顧客アカウントに属するすべてのドメインおよびこのリセラー自身のドメインに伝達されます。
Reseller: res1
IPv4: 10.52.1.16
domain1.tld
Customer: cust1
domain2.tld
Reseller: res2
domain3.tld
上の例では、ドメイン domain1.tld
および domain2.tld
には IP アドレス 10.52.1.16
が割り当てられますが、ドメイン domain3.tld
には自動 IP マッピングルールに基づく IP アドレスが割り当てられます。
注釈: IP アドレスを手動でリセラーに割り当てる場合、この IP アドレスは空きアドレスであるか、リセラーの IP プールに既に含まれている必要があります。自動 IP マッピングの場合、リセラーに割り当てることができるのは空き IP アドレスのみです。